2016/07/16 09:33

『コンビネーション』



Photograph by Terry Richardson


世の中の多くの人、物はそれぞれのコンビネーションで
潜在的な力を何倍、何十倍へと拡大して行く。

独りで歌うソロシンガーは、勿論それだけで素晴らしいのであるが、
ピアノの伴奏やバックコーラスでまた違う魅力を発揮する事ができる。

コンビネーションの善し悪しは上手に共鳴し合えれば素晴らしい芸術になるが、
場合によってはほんの少しの歯車の掛かり違いが不快な物に変わってゆく。
とても微妙な物だ。

下手なオヤジのカラオケを聴くのは拷問に近いが、
綺麗な歌声を聴くのは至福の時である。

『やってしまった!!』


それは先日の話である。
私は、一世一代の大間違いをしてしまった。
この表現が正しいか否かは置いておいて、
大根おろしにウスターソースを垂らしてしまったのだ。

ウスターソースの瓶と醤油の瓶をもう少し判りやすく別けておいてくれないか!
と主人に物申したい所であるが、こう言う所で文句を云わないのが
日本人と言うものだ。我慢しよう。

ウスターソースと醤油、パッと見には同じだけれども瓶を揺すって見ると、
粘度の違いでその違いは一目瞭然だ。
自分が悪い、そう言い聞かせよう。

前述のほんの少しの歯車の掛かり違いで不快な物に変わってゆく。
の具体例には相応しくないかも知れないが、

『大根おろしにウスターソース』、
この言葉を聞いただけで不快な思いをする方も多い事であろう。

因みに『赤身の握りにウスターソース』も同様だ。
自宅での出来事であれば、その部分だけ廃棄するとか対処の方法は有るのだが、
その事件はお店で起きた事、大根おろしも少量しかない、
その部分を棄ててしまえば残りはほんの僅かだ。

我慢して頂くべきかどうかと悩んだが、やはり結果は諦める事とした。
久しぶりの贅沢が、こんなクダラナイ事で台無しになってしまう。
辛うじて残った僅な大根おろしで至福の時を満喫した。

街の定食屋は値段もピンからきりだが、その味付けもピンからきりである。
その事件は、最近私が発見したお気に入りの定食屋で起きた出来事だ。

『裏原』


Photograph by townphoto.net


裏原宿の略称である。原宿の裏側、表参道の小路を入った辺りで
若者のファッションの最先端を行く店が所狭しと並んでいる。

『古着』と言う言葉に抵抗感が無くなってからはもう10年以上になる。
こんな私でも身なりに気を使わねばならない時が有り、
衣装を探すのに便利な店であることが解ってからは、
散歩がてらに古着屋を見て回るのが好きになった。

古着、と言いつつ、デッドストックと言われる未使用品もよく見掛ける事があり、
更にはその古さ故の昔の職人達の見事な技を垣間見ることが出来て、
ものつくリストの私としてはとても有意義な時間である。

そんな裏原でふと見付けた定食屋、
雑居ビルに入った古着屋の地下で営む定食屋は少し場違いな感じで、
その店構えが私の探検心を刺激した。

この狭く急な階段の向こうにどんな世界が広がっているのか、
期待半分、不安半分と言った所であった。

独り定食屋探検隊の及第点取得率はほぼ50%
その店は久しぶりの私のストライクゾーンのど真ん中であった。
その日から私は可能な限り通う事となってしまった。

豚カツ、アジフライ、ハムカツ、しょうが焼き、刺身定食、日替わり小鉢、…………
そして鯖の塩焼き。
パーフェクト!!

恐らく東京で頂く中では一番旨いと思う鯖の塩焼き。
多分その主人が仕込みでひと手間を加えているのであろう

最高級品が並ぶ百貨店や築地の場外市場でも干物を散々探し歩いて見たが、
なかなかあの鯖の塩焼きに敵う魚には御目に掛かれないと思う。
それほど私はその鯖の塩焼きに陶酔してしまっている。

何が違うのか?塩加減か、仕入れる魚の鮮度か?
多分普通の塩や材料で仕上げていると思う。
塩加減は一歩間違えると大変な事になる。

かくして職人の腕と言うのは絶妙なコンビネーションで
私を至福の世界へと連れて行ってくれる。

『漢字のコンビネーション』


漢字のコンビネーションと言えば
『熟語』とか『四文字熟語』が真っ先に思い浮かぶであろう。





漢字は一文字であっても大きな表現力を発揮するが、
他の漢字と組み合わさる事でその世界観を無限に広げてゆく。

そこで
『漢字時計でペアウォッチなどは如何であろうか?』
『愛』と『雅』
と来れば雅子さんと愛子さんが思い浮かぶ。

そして例えば『馬』と『鹿』
何故に馬と鹿で、頭の弱さを表現するのかは理解しかねるのであるが、
言葉の意味をよく理解していない外国人のカップルがペアでしてくださると
私は嬉しい。

そのアンバランスが絶妙でお洒落な気がするからだ。
又は、東京大学卒業のインテリカップルが
『馬と鹿のペアウォッチ』などをしてくれると、
素晴らしくインテリ・ギャグが冴えてお洒落な気がする。

…………そう思うのは私だけかも知れないが。

しかしながら、本物の馬鹿が『馬と鹿のペアウォッチ』をしたならばただの馬鹿であるが、
インテリカップルがすれば本当にお洒落。インテリだけに与えられた特権だ。

前にも述べたが、浮気防止に『秀男』さんと『舞子』さんのカップルにも
『秀』と『舞』はピッタリ。

更には秋葉原辺りのマニアックなオタク達には『萌』を勧めよう。



応援しているアイドルに色違いの『萌』を送って
『二人の一瞬の萌時間』を共有してみてはどうか?

『愛』とナニ?


この答えに辿り着くまで私は20年掛かった。
『愛』にあわせる漢字?

今まで多くの人にその答えを尋ねてきた。

多種多様、人それぞれにいい漢字もあったが、今ひとつ私にはピン!と来ない。
デザイン性、その意味、ユーモアセンス、独創性、
何よりも漢字時計に仕立てられるデザイン。

『嘘』

これしかない!と思った。
と同時に何故もっと早く気付けなかったのか?

運命なのか定めなのか、
仕方がない、このメッセージを今からでも1人でも多くの人に伝えて行こう。
それが私のライフワークだ。

かくして『愛と嘘』のペアウォッチは私の代表作となったのである。





賛否両論、お受けしよう。イヤ、どんな否論も受けましょう!

でも、世界へ行けば馬鹿は私だけではない。

かの日本贔屓の女性アーティストのエッセイを御覧あれ。


ものつくリスト  小柳 健一