2017/01/13 22:28

自由人倶楽部


知らない内に2017年になっている。

知らない内に2018、2019、2020年になるのか。

知らない内に私も47歳、

知らない内にあの世に行かない内に、この世に何かを残さねば。

そして今、私が何か出来るとしたならば、handwork job である。


金曜日の深夜、私のhandwork job の手が止まる。

その訳は、大好きなタモリ倶楽部の放送を見るからである。

以前にも書かせてもらったが、吾輩はタモリファンである。
何故なら彼はとても面白いから。

更に言わせてもらうならば、『面白い事を面白いと感じる才能が凄い』とでもしておこうか、
兎に角お笑い芸人の面白さとかでなく、 その遥か上を行く面白さだと私は感じている。

人として面白い、と いう表現が一番適当だろうか、
私なんぞが彼を評するのはとても難しい。 と言うよりもおこががましい。

今は亡き、赤塚不二夫先生。
ギャグ漫画家の先駆者である彼もタモリさんを大好きで、いつも側に居させていたと言う。
其ほどタモリ氏は面白い人なのだろう。

著名人、有名人、要するに、誰もが知る秀でた人物には彼らを支える影の存在が居るもので、
日本の巨大企業の有名社長達にもそんな 方々の存在が有ったと良く聞くものである。

何故にタモリ倶楽部と言う番組が好きかと言うと、
とことんクダラナイが、とことん文化的でもあるからだ。

ある時、ラーメン屋で敢えてラーメンを食べない!!!
と言う企画をやっていた。

ラーメン屋にある材料を駆使して酒を呑もう、との事。

メンマ、チャーシュー、葱、出汁取り用の煮干し。
それらはそのまま食べても良い。チャーシューは炙って良し、葱は焼き葱。
ライスを使ってチャーハンも出来る。チャーハンスープは当然ラーメンのスープ。
収録終了後に、別の店でラーメンを食べたか否かは定かでない。

またある時は、有名大学の理工学部の学生のサークルを集めて、競争させる。
スパゲッティの乾麺を使って、橋の模型を作らせ、重りを乗せて、その強度を競争させると言う。



いったい何の意味が有るのか?

少なくとも私にとっては『面白い』と言う意味が有る。
面白さ、の感性は人それぞれ違うもの。

私は誰も持っていない物が好きで、
誰もやった事がない事を試してみたい、と、いつも考えている。

誰も思い付かなかったスパゲッティの橋、そのアイデアに感動した 。
茹でればふにゃふにゃに成る乾麺があんなに重たい物を支えられるとは。
そして折れてバラバラになったスパゲッティを食べるのも楽しそうだ。

ただ単にスパゲッティを食するより、
とことんクダラナイお遊びをした後に食べたら何倍楽しい事だろう。

食文化、等と言う言葉があるが、こう言う事を含めたのも日本人の感性なのだろう。

そして、ある時。
歯車を紹介する企画の時である、



本題を述べる前に、
その番組内でもの凄い名言が飛び出した事を伝えておきたい。

歯車は、私にとって切っても切れない関係だ。


『漢字時計』を製作するに当たって、
漢字デザインの針を動かす動力源は、機械式オートマチックの部品を使用している。

それは歯車の塊である。

米粒より小さな歯車が幾つも重なり手首の辺りで時を刻んで、
漢字時計の場合は、それを纏う個人の感性を歯車が織り成して行く。

私が大好きなイタリア製の古いオートバイは、
そのエンジンに使われている歯車が独特の形をしている。



キック始動式エンジンを抱えるドカティには『べべルギア』と言う名前の歯車が使用され、
ドカティ社が生産する車種を識別するのにも、『べべル』なる言葉が使われる程である。

どういう歯車かと言うと、回転する動きを直角に変換する歯車である。
この方式を使う事によって、エンジンの分解、組み立ては単純に成るのだが、
調整の難しさと言う代償がついて回る。

設計者は大きな選択を強いられる。日本式の設計思想とは正反対だ。

日本人式の設計は全てが80点の出来である。
壊れても治しやすい、デザインよりも操作性を優先し、誰でも触りやすい、平均値を求めている。

その代償が、製品を『ツマラナイ』物にしてしまう。
私にとっては非常に残念な事だ。

しかしどちらも正しい選択で、使う側が選べば良いこと、
ここでただひとつ、日本人に欠けていると感じるのは、
どちらかを選ぶ事が出来ない、選ぶ度胸がない、と言う事だろうか。

それをそう言い切れるのも、私本人がその最たる人間であるからだ 。

イタリアを代表するもう1つのオートバイ。
スクーターと言った方が良いのか、『ベスパ』と言うオートバイ。

このエンジンも、独特の歯車を使っている。
普通のオートバイや車のエンジンで使用される、チェーンやベルトを使わず歯車のみで
動力を伝える方式、それに拘る為の歯車のデザイン。

予めラテン系の人々の国民性を熟知しているかのような、
かなり雑に扱われても大丈夫な様な歯車で、通常はある程度尖っているはずの刃先が、
予め削られていて富士山の様な形状をしている。

そして最近、昔お付き合いしていたフランス語で女神と称する車が 、
10年振りに私の元に戻ってきた。
シトロエンDS21である。

実はシトロエン社は歯車を作っていた会社。

それもかなりハイレベルの技術で現代のシトロエン社のロゴはその先進的、
かつ独創的な歯車のデザインを模したものである。



歯車は水平方向の回転を同じく水平に伝える部品である。
しかし、物が可動するにはどうしても隙間が必要で、
この隙間が垂直方向のブレを引き起こしてしまう。

これを無くす方法は色々有るが、他に部品を必要としたり、
其によって機械自身が大きくなってしまったり、デメリットばかりが増えて行ってしまう。

しかしシトロエン社はその独創的な歯車の形で、厄介な縦方向のブレを無くしたのである。

漢字時計を製作する際に、
精密機械の最たる機械式オートマチックの部品を使用するのだが、
その機械は通常の時計針を動かす分には全く問題ないのであるが、
我が漢字時計を製作するには、部品のガタ(隙間)が大きいので、
私はメーカーからの部品の納品後に再度機械の調整を行う。

精密機械であっても、部品毎に精度のバラツキが有るのである。
それほど漢字時計の製作はギリギリの所で作られている。

そこで、シトロエン社のロゴになっている縦方向のガタを無くす歯車が有れば
どんなに作業が楽になるであろうと、常々思うのであるが、
残念ながら、その歯車の設計は精密歯車の製作には向いていない。

歯車の能書きをあれこれ述べさせてもらったが、
タモリ倶楽部の歯車の企画を見れば私の知識など素人同然とバレてしまい、
こんな事を書くことさえおこがましいが、普段、人が気付かないクダラナイ事にも、
色々な思想や文化が隠れていることをこの番組は教えてくれる。

タモリ倶楽部は面白い、そして奥が深い。

私にとって切っても切れない関係の歯車の話。

そして
日本語は難しいのか?面白いのか?楽しいのか?

『生きる』と『活きる』どちらの漢字を使うべきか?


タモリ倶楽部のひとコマ

『人間と歯車は独りではイキられない。』



ものつくりスト   小柳 健一